コールセンター業務の効率化とコストダウンを実現
コールセンターシステムは、銀行窓口やATMに行かなくても電話による銀行取引を行えるほか、質問や相談を可能にするシステムです。銀行のお客様から電話を受けるとオペレーターのパソコン上にお客様の取引履歴や各種情報が表示され、オペレーターはそれを見ながらお客様に適切な情報を的確に伝えていきます。今やITなしには円滑な銀行業務を実現することは難しくなってきているのが現状です。
一方で、パソコンやヘッドセット等をはじめとしたハード面のシステム設備投資や業務を運営する人員も確保する必要があり、コールセンターシステムは導入にも維持にも莫大なコストが発生することが課題となっていました。
このような背景から、当社では横浜銀行様で開発実績のあるコールセンターシステムをベースに、業界に先駆けて日本初の銀行向け共同利用型コールセンターシステム「MeShare」をつくり上げ、銀行様のシステム投資のコストダウンを実現しました。地銀最大手の横浜銀行様のニーズに応えたものがベースであり、勘定系連携をはじめ営業支援システムとの連携など、豊富な機能を搭載しているのも特徴です。
当社では勘定系や情報系でも共同化システムの開発に携わっていますが、共同利用型システムとはこれを利用して頂く銀行様を新たに開拓することが必要です。そのため全国各地の銀行様へ積極的に営業・提案活動を行って、現在では6行目となる銀行様の導入に向けて開発を進めているところです。
企画から開発、運用まで手がけられるからこそ
このプロジェクトではシステム的な質を高めるのはもちろん、運用する中で浮かび上がった問題を解決するべく新しい試みにもチャレンジしました。例えば、ご利用頂いている複数銀行間の情報連携もその一つです。コールセンターは銀行内でも限られた部門で取り扱っていることから他行のノウハウや運営に関する情報が得にくいという課題がありました。そこで「MeShare」はご利用頂いている銀行様間で様々な情報や取り組み状況をシェアできる運営委員会というコミュニティづくりを行い、銀行様からは大変好評を頂いています。
私自身を振り返れば、このプロジェクトではチャレンジの連続でした。サーバやOSなどのインフラ部分の構築を担当しましたが、誰もが経験のない分野のため、手探りで物事を進めざるを得ませんでした。パートナーベンダーの方を含めて支援いただき、不明点をひとつずつ解決しながらチームメンバーが互いに頑張った結果、インフラ部分の品質は非常に良い仕上がりとなりました。
一昨年からは新規のお客様のシステム導入にあたり、開発リーダーを任され、お客様への提案や調整などを主に担当し、これまでの経験で得た知識をフル活用し思いを込めたシステム構築ができるチャンスだと捉えています。現在のチームに配属されてからの5年間で、企画・提案から開発、そして運用というすべてのフェーズを経験してきました。初めてMeShareに触れた銀行様がシステムを理解し、課題解決のためにヒアリングと提案を重ねてシステムを構築し、使いこなせるまでサポートする。文字通りシステムの“すべて”の工程に携わり、ものづくりに自分たちの意思を反映できることが、この仕事の醍醐味であり、SEの魅力のひとつだと感じています。
AIなどの最新技術も視野に、チャレンジし続ける
MeShareのリリースから5年が経過し、ハード更改を見据える時期に入りました。この間にご利用頂いている銀行様の数も増えましたが、まずはしっかりとシステムを安定稼動させることが先決です。それとともに次世代のシステムでは新しい要素を取り入れてシステムの付加価値を上げる必要もあると考え、最近では音声認識技術とAIを組み合わせる計画も持ち上がっています。これは録音した会話をテキスト化してデータマイニングを行い、状況に応じた会話をパターン化したデータに基づき、オペレーターの会話中に“あるべき会話の方向性”をリアルタイムでAIが示していく。そのような近未来的な技術の導入も視野に入れています。AIは非常に高価ですが、共同利用型だからこそ実現性も高いと考えています。
私自身は後輩を育成する立場にもなっていますが、これまで培ってきた経験を後輩たちに引き渡していくことで、MeShareに関して新しいことにチャレンジできる時間を増やしていきたいと思っています。
PROFILE
2010年入社。経済学部経済学科卒。入社後は横浜銀行様のAP開発に携わったのち、2年目の後半からコールセンターシステムの開発に携わる。学生時代はスノーボードに熱中し、2か月間合宿で山籠もりしたことも。地元横須賀の夏祭りでは毎年、仲間と一緒に神輿を担ぐという。その仲間とは定期的に集まりリフレッシュできる時間を過ごしている。
コールセンターシステム担当